翻って、中医学には陰陽五行論を基本文法(基礎概念)として長い歴史の中で試行錯誤を繰り返し、成熟した独自の言語と、きめ細かい文法(理論体系)を持つに到った。
日本漢方の特徴が「方証相対」による「随証治療」であるなら、中医学のそれは「弁証論治」による「病態認識・治法・方剤・実際処方」(文献4)であろう。
日本漢方の<病態認識>は、それがそのまま<方剤=実際処方>として短絡的に繋がっており、その<病態認識>は方剤の名称をもって来てそのまま<何々湯証>として認識される。即ち、病態認識は存在しないに等しく、その病態に対する治療法ばかりが重要視される極めて民間療法的なものと言えよう。
中医学においては、独自の理論、分析手段により論理的、分析的な病態の説明<病態認識>が可能である。そして、それに対する治療方法とその理由<治法>、それに該当する基本方剤の設定理由<方剤>、その患者の特殊性を考慮しての具体的処方内容とそれぞれの配合目的及びその配合理由<実際処方>が、それぞれ筋道をたてて論理的に説明できる独自の言語と理論、法則がある。