トップページへ (1)はじめに (2)日本漢方の特徴と欠点 (3)両医学における病態認識のあり方
(4)専門用語が未熟な日本漢方 (5)日本漢方の処方運用上の欠点 (6)中医薬学の教科書
(7)日本漢方に教科書はあるのか? (8)閉塞状態にある日本漢方 (9)日本漢方が発展する唯一の道
(10)中医漢方薬学 (11)おわりに (12)文献 相互リンク集

   

日本漢方が発展する唯一の道


 かくして、このような閉塞状態にある現代日本漢方から脱却する唯一の道は、思考力、創造力を生むために必要不可欠な独自の言語を持つことにあると考えられるが、急場しのぎに言語を獲得することは不可能に近い。付け焼刃の言語でなく成熟した言語でなくては、正しい思考能力は生まれない。
 既に、日本国内においても逸早くこれらのことに気が付いた医師、薬剤師は多く、幼稚な東洞の流れを汲む日本漢方を見限り、既に中医学に転向している人もいる。或いは、一部の後世派や折衷派の識者は、もともと陰陽五行論を代表とする内経思想と馴染みがある関係から、極めて自然な経過として、中医薬学に溶け込まれている方も、現実には多いようである。

 ところが問題の日本漢方の主流が以上に見て来た通りの東洞の流れを汲むパターン認識の閉塞的な漢方であるだけに、彼等と共通の言語を、未だに共有できずにいる。「虚実」の問題ばかりか、「陰虚」という言葉の使用方法を比較すればおのずから明らかで、一事が万事この調子では、討論することすら困難である。
 と言っても幼稚な言語感覚しかもたない日本漢方においては、当然のことながら医学と言われるほどの理論と体系があるはずもなく、ぐるぐるとパターン認識の輪から永久に抜け出られない状態であるのだから、この際、一切の日本漢方における幼児語を捨て去るべきなのである。かくして日本漢方のは中医学に吸収合併され、その吸収合併の中で、殆ど唯一の光彩を放つ日本流の方剤学の分野における成果を活かす道(文献9)を見出すべきであろう。

 器用なわれわれ日本人は、我々だけで創造するのは不得意でも、他国の創造物を改良発展させる技術においては定評のあるところである。日本の漢方が中医学に吸収合併されて行くのは必然的なことであり、その第一歩を踏み出すべき時が今やって来たと思うのである。
 我々は謙虚に中医薬学を学習して豊富な言語と語彙を獲得し、これに過去の漢方医薬学の知識を吸収合併させることで、「中医漢方薬学」を新たに創造して行く必要があると思われるのである。(文献8)。

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